friends もののけ島のナキ

『friends もののけ島のナキ』、という映画を見た人も多いのではないだろうか?この映画は映画『ALWAYS』シリーズの監督を務めている『山崎貴』監督が、初めて挑戦した3DCG映画となっている。原案となったのが、浜田廣介の児童文学作品としても有名な『泣いた赤おに』を基にして作られたファミリーファンタジー映画となっている。本作品をよりリアリティ且つ、臨場感溢れる作品にしようという監督の試みから、以下のような技術が映画製作に用いられている。

  • 本来ならアニメーションは完成した動画に声を吹き込むことで出来上がるが、今作では最初から声優の台詞をアドリブも含めて収録した後、その口の動きを分析してからキャラクターに反映させている。
  • 大きな体の動きは、声優とは別に実際にスタントマンの模範演技を撮影した後、声優と同様に分析して円滑な動きにするように作られている。
  • 「フルCG」のアニメーションではあるが、一部の背景には実物のジオラマを合成している。

作品のキャッチコピーは『どこまでも、きみのともだち』『霧に隠された海の向こうには、不思議なもののけの棲む島があった』となっている。

全国334スクリーンで公開され、2011年12月17日・18日の初日2日間で興行収入約1億5千万円、動員数約10万4000人を記録して、映画観客動員ランキングで初登場4位となる。ぴあの初日満足度ランキング調べでも第2位と、この映画を見て泣きましたか、アンケートでは74.5%が泣いたとの回答が寄せられているほど好評価されている。

泣いた赤おに

そんなもののけ島のナキについて語る前に、一度原案となった児童文学『泣いた赤おに』を振り返ることにしよう。

原作あらすじ

とある山の中に、一人の赤鬼が住んでいた。赤鬼はずっと人間と仲良くなりたいと考えており、家の前に立て札をおいて何とか交流を図ろうとした。立て札には『心の優しい鬼のうちです、どなたでもお越しください。おいしいお菓子があって、お茶も沸かしています』という、こちらに敵意がないということを証明して、何とか話だけでもと考えていた。

しかし人間達がそんな札の内容を信じることはなく、誰一人として赤鬼の家に遊びに来ることはなかった。赤鬼は悲しくなり、信用してもらえないことを悔しがり、終いには腹を立てて、立てていた札を引き抜いてしまう。

一人何とも言えない悲しみに暮れていたとき、友達の青鬼が赤鬼の元を訪れる。赤鬼の話を聞いた青鬼はある作戦を思いつく。『僕が人間の村で暴れまわるから、そこへ赤鬼くんが出てきて、僕を退治するんだ。そうすれば君はきっと村の人たちに受け入れられる』という、青鬼が自らを悪者に仕立てての芝居をうとうというものだった。赤鬼はそんなことは出来ないと躊躇するも、青鬼はそれしか方法はないとして赤鬼を強引に人間の村へと連れ出した。

そして遂に作戦は実行され、青鬼が村の子供たちを襲って、それを赤鬼が懸命に防ごうとして青鬼を退治する。見事に作戦は成功して、赤鬼は人間達と仲良くなり、村人達は赤鬼の家に遊びに来るようになった。人間の友達が出来たことを心から喜びながら、赤鬼は青鬼への感謝の気持ちでいっぱいだった。

しかし赤鬼はずっと気になることがあった。それは親友でもある青鬼があれから一度も遊びに来ないことがずっと気がかりだった。この状況は全て青鬼のおかげであるというのに、なぜ青鬼は来ないのかと思い、彼の家を尋ねた。ところが青鬼の家の戸は固く閉まっており、戸の脇には一つの張り紙が貼ってあった。

『赤鬼君、人間達と仲良くして、楽しく暮らしてください。もし、僕が、このまま君の側にいると、君まで悪い鬼だと思われてしまうから、僕は君から離れるために旅に出ます。僕はいなくなるけど忘れないで下さい、僕が君の事をずっと友達だと思っていることを。さようなら、体だけは大事にしてください』、と手紙には綴られていた。

赤鬼は黙ってそれを何度も読み上げると、涙を流して泣き続けた。その後、二人が再会することはなかったという。

という作品になっている。人間と仲良くなりたいと願った赤鬼は、青鬼の計らいによって無事に自分の望みが叶うものの、彼が手に入れた一つの幸せを手に入れたことによって、持っていたもう一つの幸せを失うことになった。一つの幸せを願ったばかりに、もう一つの幸せを手放すことになってしまったという、幸せは同時に二つは手に入らないということを暗にほのめかしている内容だった。今まで持っていたものがそこまで価値のあるものではない、むしろ持っていることが当たり前のように感じているため、本来持っているそれがどのような価値を持っているのかを気づいていないことを示している。失って気づくその価値は、どんなに願っても二度とに手に入ることはない作品の内容に、成長した後に呼んだときは奥が深いなと思いましたが、児童文学って実は人生論を語っているものなのでは、と思ったものです。

本当に大切なものは、きっとずっと身近にあるもの、そんな作風からか今でも多くの児童に読まれている作品の一つとなっています。成長してから見てみると、改めてその話の深さに感動を覚えます。

friends もののけ島のナキ あらすじ

泣いた赤おにを原案にした作品にしているこの映画のあらすじを紹介していきましょう。

あらすじ

霧に隠された海の先には、もののけが住むと恐れられ、近づくことさえ禁じられた不気味な島があった。ある日、そこに迷い込んだ人間の赤ん坊コタケは、不思議なもののけたちと出会うことになる。もののけ達は突如として現れた人間の赤ん坊を見て、混乱を呼ぶ大混乱を起こしてしまう。人から恐れられていると考えられていたが、実はもののけたちは人間を恐れてひっそりと暮らしているのが、本当のところだった。どうしたものかと悩むもののけ達はやがて、赤ん坊の世話を暴れん坊の赤鬼ナキと青鬼グンジョーが面倒を見ることで一致する。始めこそ喧嘩ばかりしていたナキとコタケだったが、やがて二人のそんな溝は埋まっていくように打ち解けていき、いつしかナキには今まで感じたことのない優しさを感じるようになり、かけがえのない友達へとなっていく。しかしどんなに仲良くなったとしても、もののけと人間がずっと暮らしていけることは出来なかった。またもののけたちのほとんどは戦闘能力を失っており、人間に攻められるものなら、確実に自分達は全滅させられてしまうという恐れもあった。コタケに関しても、一度もののけの里に入ってしまえば人間の里に返してはいけないという掟から、もののけ達はコタケを自動的に里に軟禁することになる。そんなコタケに、情が移っていたナキはこっそりと村の掟を破ってコタケを人間の、母親の元へと返しに行くのだった。その後何とか返すことは出来ても、コタケに会いたくなってしまったナキは再び人間の里を訪れるも、待っていたのはあまりにも残酷さな現実だった。

村を守っていたサムライ達から攻撃されて傷ついて命からがら逃げ延びるのを助けたのは、親友のグンジョーだった。サムライ達から無事逃げることが出来た二人はそのまま山の洞窟で一晩を過ごします。そこでグンジョーは人間達に対する恨みつらみを吐き出してナキに吐き出すと、グンジョーは遂に村を襲うことを決意するのだった。そしてグンジョーの攻撃でサムライ達はあっけなくやられてしまい、村人達は追い詰められてしまう。そんな村人達を救ったのは傷ついたナキであった。グンジョーの攻勢を何とか押しとどめるナキの姿を見て、村人達はナキに対する心境が変化していった。やがてグンジョーが攻撃をやめてナキに告げます。『どうしても、村人たちを守るというんだな? 俺は、旅に出る。別れた母親を探すつもりだ』と言って、グンジョーは旅立っていきました。この事件をきっかけにナキは村人達と仲良くなり、無事にコタケとも再会することが出来ました。

後日、ナキはグンジョーがコタケに会いたい自分を思って、わざと芝居を打っていたということを知ったとき、ナキは慟哭するのだった。ナキは確かにかけがえのないものを手に入れたことに違いがない、しかし同時に本当に大切で、自分をいつも支えてくれたたった一人の親友を失うことになってしまうのであった。

という内容になっています。前半部分こそオリジナル要素で構成された展開となっていますが、後半の話はまさしく『泣いた赤おに』のストーリーに準拠しているものになっている。これではさすがに泣いてしまうだろう。この作品で出演している声優はほとんどがタレント上がりだが、グンジョー役は男性声優界において、七色の声を持っているとまで言われているベテラン声優の『山寺宏一』さんが担当しているのだ。これは彼のファンならもうたまったものではないだろう。その迫真の演技力は現在の声優界を牽引している一人と言わしめる実力は、他の演者達を圧倒している。あえて悪者になっているグンジョーの真意を見事に声のみで演じてしまう山寺さんの熱演は多くの観客の涙腺を誘うことになったと考えれば納得も出来るものだ。

往年の児童文学を映像化しただけでなく、その作品に声を当てたとあればやはりお涙頂戴といってしまうだろう。子供でも大人でも、存分に楽しめる作品、これは本当にお勧めです!!

登場人物

もののけサイド

ナキ

演:香取慎吾、加藤清史郎(子供時代)

本作の主人公で、原作の赤鬼に当たる存在。200年前に母親を人間達に殺されてから人間を忌み嫌うようになり、その影響からか心も閉ざすようになってしまう。反動からもののけたちにも日頃から暴力を振るっていて嫌がられているものの、親友のグンジョーが助け舟を出して島にいさせてもらっている。

足に力を入れることでジャンプできる能力を持っている。粗暴に見えるが、本当の性格は非常に優しいものだったが母親のこともあって今までその感情を封印していたが、コタケとの出会いによって、再び優しさを取り戻すのであった。

グンジョー

演: 山寺宏一

原作の赤鬼の親友、青鬼に当たる存在。200年前、人間に追われている最中にはぐれた母親の安否をずっと気に掛けている。ナキとは古くからの付き合いで親友の間柄。お調子者で悪知恵もあって、他のもののけたちとも付き合いがいい。ある日、母親と思しきもののけを見たという目撃情報を聞いて探しにいこうと思うも、ナキの事が気がかりで行動に踏み出せずにいた。

そんな時、ナキのコタケとの関係を見ていたこともあって、グンジョーは苦しくもある決断をするのであった。

ゴーヤン

演: 阿部サダヲ

ゴーヤもののけ。何かと不幸な目にあう残念な、もののけ島のマスコットキャラクター。

ミッケ

演: YOU

ネコもののけ。尻尾が2本生えており、腕のように自在に動かせる。

かまさん

かまいたち+一反木綿。

カメッピ

一つ目亀小僧。

ゴッチー & クッチー

演:小岩井ことり

双子の五口鳥。

ネギ坊

ネギもののけ。

デブー

大サンショウウオ+竜。

鐘タコ

タコもののけ。

長老

演:大木民夫

なまずもののけ。

コロポ

コロポックル。

テテ と ソクソク

手長足長もののけ。上がおばさんのテテ、下がおじさんのソクソク。

ヤーネン

からす天狗+牛鬼。

ぬっぺ

ぬりかべ。

ボクー

夢見るバクもののけ。

人間

小竹(コタケ)

演:新堂結菜

人間の赤ん坊。もののけ島に迷い込んでしまい、ナキ達と仲良くなる。

竹市(たけいち)

演:庄子裕衣

コタケの兄。もののけ島に勝手に入ったため、ナキ達に追い払われ、コタケとはぐれてしまう。

明野(あけの)

演: 湯屋敦子

コタケと竹市の母親。

大ばばさま

演: 鈴木れい子

コタケたちの住む村の老婆。もののけのことには詳しい。

我助(がすけ) & 吉兵衛(きちべえ) & 兵馬(ひょうま)

演: FROGMAN

もののけ退治の三人衆。

スタッフ

監督

山崎貴・八木竜一

製作

市川南・亀井修・平城隆司・飯島三智・加太孝明・島村達雄・北川直樹・小林昭夫・佐藤慶太・喜多埜裕明

プロデューサー

沢辺伸政・上田めぐみ・守屋圭一郎・渋谷紀世子

エグゼクティブプロデューサー

阿部秀司・都築伸一郎・桑田潔

COエグゼクティブプロデューサー

大村信・山内章弘

アソシエイトプロデューサー

鈴木健幸・今川朋美

企画

川村元気

原案

浜田廣介『泣いた赤おに』

脚本

山崎貴

CGスーパーバイザー

鈴木健之

音楽

佐藤直紀

アートディレクター

勝又典子

サウンドデザイン

百瀬慶一

S3Dスーパーバイザー

迫田憲二

製作会社

friends」製作委員会(東宝・小学館・テレビ朝日・ジェイ・ドリーム・ROBOT・白組・ソニー・ミュージックエンタテインメント・博報堂DYメディアパートナーズ・タカラトミーアーツ・Yahoo! JAPAN・阿部秀司事務所)

配給

東宝

主題歌

  • MISIA『Smile』

受賞歴

  • 第36回日本アカデミー賞 優秀アニメーション作品賞
  • 2013年度VFX-JAPANアワード 劇場アニメーション映画部門